乙女と王鈴
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写 真(りんご、長野) りんご料理 メ モ 帖 (07/9/30)


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 長野市往生地
栗田果樹園栽培のりんご:品種特性
                                  当園出荷時期はおよその目安です。

トピックス:  シナノゴールド、シナノスイートは増産中、シナノドルチェは試作段階です


紅玉(こうぎょく)



【来暦】
 アメリカ、ニューヨーク州で発見されたもので、エソーパスの
実生*と言われている。わが国への導入は、祝、国光と同じく、明治4年(1871)とされている。昭和40年代前半まで国光と並ぶわが図の二大品種の一つであった.ふじへの変換で栽培面積が減りましたが根強い人気があります。

 *実生(みしょう)=草木がつぎ木や、さし木によらず種子から成長すること
出荷時期 10月初旬〜 当園栽培量
【特性】
 果実の大きさは200g前後、果形は円形で、果色は鮮紅色。果肉は黄白色でち密、芳香があり、甘酸適和で品質は最上である。長野市での収穫期は9月下旬から10月中旬まで。結果年令に達するのが早く、豊産性である。さらに
加工用、料理用に適するというすぐれた特性をもっている。反面、側果にツルサビが出易く、黒点病、うどんこ病に弱い。ゴム病、斑点病などの貯蔵病害が多い。収穫前落果が多い。結果部がハゲ上がりやすい。着色管理に多くの労力を要するなど、栽培しにくいという大きな短所をもっている。--蜜入りを望む消費者もいますが、収穫が遅れると貯蔵性が劣る為、その「かねあい」が生産者を悩ませています。

ゴールデンデリシャス

【来暦】
 アメリカ原産。1890年に生じた
偶発実生。わが国には1923年に青森県りんご試験場が導入。現在世界各国で一番多く生産されています。
 
出荷時期 10月初旬〜 当園栽培量
【特性】
大きさ中、長円〜長卵形、黄りんご、陽光面オレンジ色に着色、さび果点、肉質良、糖度14%、酸度0.36%、
食味良、10月上旬〜。樹の特性は早成りで、豊産性。栽培上の注意点は、さびが出易く、押し傷が目立ち易い。さびを防ぐには春、小袋をかけますが、当園は(全品種)無袋栽培のため若干さびが出ます。


秋映(あきばえ)

00/09/13撮影

【来暦】

 長野県中野市、小田切氏の育成選抜
つがるx千秋
平成5年3月10日種苗登録

出荷時期 10月初旬〜 当園栽培量
【来暦】
 果実の大きさは250〜300g、果形は円形〜円錐形で果色は濃い赤〜暗赤色、縞は不明瞭。果肉は黄白色で硬く、きめはややあらい。果汁は多く糖度は14%程、酸度は0.4〜0.5%で食味は甘酸適和で味良。収穫期は長野市で10月上中旬、で千秋より若干遅い。着色が先行するので、収穫を急がない。日持ちは良い。

千秋(せんしゅう)
00/09/16


【来歴】
 秋田県果樹試験で昭和41年(1966)、
東光*にふじを交配して育成した71個体のなかから昭和49年(1974)に選抜したもので、本県へは昭和51年(1976)春に試作依頼で導入されている。命名は昭和53年(1978)10月30日となっている。秋田の秋が名前についていて、青森の「つがる」とともに、ドメスチックな雰囲気が漂う名前が付けられている。

*
東光=ゴールデン×インド、1960年登録
出荷時期 10月初旬〜 当園栽培量
【来暦】
 果実の大きさは200〜250gでやや小玉であるが比重は高い。果形は円形で時により尻細の円錘形となる。果色は鮮紅色で完熟するとヒビなどの肌あれが出やすい。果肉は完熟すると黄色で、ややち密。多汁で芳香あり、甘酸適和で味よく、さわやかな食味である。収穫期は長野で9月下旬〜10月中旬、日持ちはかなり良いと思われる。樹勢は中位で開張性、うどんこ病、斑点落葉病には強いようである。長所は、
食味がすぐれ、比較的日持ちがよい。つがるとふじのつなぎに適する中生種である。短所は、やや小玉である。日かげ部の果実の着色が悪い。年によりつる割れ、裂果、肌あれが発生する(特に完全無袋の場合)。若令樹の着花がやや粗になりやすいなどである。ふじ同様商品化率が悪い。
 

王鈴(おうれい)


【来歴】
 
ゴールデンxデリシャス。日本原産。。青森県りんご試験場が1932年交配、1947年選抜、1948年命名,1949年園芸学会に金鈴として発表、1951年に王鈴として種苗登録。果形が特殊で適したパックが無いためもあり生産は増えなかった様です。
出荷時期 10月中旬〜 当園栽培量
【特性】
 果実は150〜200gで、
果形は円筒形、果色は黄色で美麗。果肉は黄白色でやや硬く、ちみつ、多汁、甘酸通和で芳香あり。糖度13〜15%、酸度.3〜.4.食味は濃厚である。長野での収獲期は標準樹で10月中旬となっている。樹勢は強く隔年結果性少なく豊産性。摘果を早めにしないと、果実が小さくなりやすい。病害の斑点落葉病に弱い。




陽光(ようこう)

【来歴】
 群馬県園芸試験場で昭和37年(1962)3月に播種したゴールデンデリシャスの自然交雑実生のなかから同44年(1969)に選抜された。選抜名称は「群24号」で、その特性は昭和48年(1973)4月園芸学会に発表、同50年(1975)に命名公表されている。 
出荷時期 10月下旬〜 当園栽培量
【特性】
 果実の大きさは250〜300gで、果形は円から長円形、果色は明るい濃紅色に仕上がる。肉質はやや粗で硬いが、糖度は高く甘酸適和で、
味は濃厚である。収穫期は長野で10月中旬〜11月上旬、ぶじよりやや早い。樹勢は中位で、はじめ直立するが開張性である。新梢はゴールデンに類似する。長所は、着色が容易で、食味がよく貯蔵性が高い。生理落果が少なく、耐病性も強い。短所は、無袋にするとサビの発生が多い。肉質がやや粗である。これもゴール、千秋同様当園は完全無袋の為サビが若干あります。

王林(おうりん)

【来歴】
 福島県伊達郡桑折町大字上郡の大槻只之助氏がゴールデンデリシャスと印度の混植園のゴールデンデリシャスの実生から育成したものだと言われる。 原木の初結実は昭和18年(1943)、命名は同27年(1952)となっている。長野県では昭和32年(1957)、埼玉県川口市の藤波昌明氏より苗木で果樹試験場が導入した。
出荷時期 10月下旬〜 当園栽培量
【特性】
 果実の大きさは250g前後で長円鐘形、果色は黄緑色で果点が目立つ。肉質は中位で多汁、
甘味強く食味は良好である。熟期は長野で10月25日が平年となっている。樹勢は中位で直立しやすいが樹令が進むにつれて開張性となる。本種の長所は、無袋栽培が容易である、独特な外観と風味をもっている。着色管理が不要であることなどである。短所は、枝が立ちやすく、樹形構成がむづかしい。樹勢が落ちつくと小玉になりやすい。剪定が難しい品種。早採りすると渋味が残る。貯蔵中にシワが出やすいなどである

ストレートりんごジュース
出荷時期 2月〜 当園栽培量


金星(きんせい)


【来暦】
 
ゴールデンx国光。日本原産。佐藤肇氏が1954年に交配、1962年初結果、1968年金嶺と命名、1972年金星という名称で種苗登録。わが国民間種苗登録最初の品種。晩生ゴールデンといわれ多少の栽培がある。 
出荷時期 10月下旬〜 当園栽培量
【特性】
果実は円形で、果重300〜400g。果色は黄色で、無袋ではさびが多い。糖度15〜16%前後、酸度0.4%程度で甘みが強い。果肉は硬く、きめは粗雑、果汁多く食味は優れる。熟期は長野市で10月中〜下旬。貯蔵性はよい。 樹勢中位、早なり豊産性。二重袋をかけると食味が極端に劣る。当園は完全無袋のため、年によって、つるもとにき裂、果皮に赤色の斑点が発生する傾向があります。

アルプス乙女
(  〃  おとめ)



【来歴】
 本種は松本市の波多腰邦男氏が昭和39年(1964)に内山紅玉とふじの混植園において、
紅玉とふじの長所を生かしたリンゴを作る目的で、内山紅玉の自然交雑実生を養成し、その中から発見されたものである。 昭和49年(1974)から市場出荷が試みられ、その結果、生食用、料理用、観賞用として広い用途のあることが認められている。 
出荷時期
【特性】
 熟期は9月下旬〜10月中旬、果実の大きさは25〜50g、平均で35g前後である。果形は長円形。果梗は細長い。果色は濃紅色で光沢があり、手入れが行き届けば日陰や下枝まで完全に着色する。果肉は橙黄色で肉質はやや粗だが、糖度高く、甘酸適和で
小リンゴの中では最高の食味である。樹の生育は劣り、マルバ台使用で、普通品種のM26台程度とかなりわい化する。

サンふじ


 【来暦】
 農林省東北農業試験場園芸部(現果樹試験場盛岡支場)が昭和14年(1939)、
国光*にデリシャスを交配して育成したもので、昭和26年(1951)に初結実している。
 昭和33年(1958)春の園芸学会に東北7号として発表された。味の良さと貯蔵性が認められ急激に増植が推進され、昭和37年(1962)ふじと命名、農林1号として登録された。--多くの苗木が世界中に輸出され、各国で最高品質の品種と言われますが、やはり作りずらそうです。

*国光=偶発実生。1871年米国より導入
出荷時期 11月中旬〜 当園栽培量 多,中核品種
【特性】
 果実は300〜450gで円形ないし長円形、鮮紅色縞状に着色する。果肉は黄白色で硬く粗である。多汁で甘味強く、微酸で蜜が入り、
食味は極上である。長野市で蜜が入り収穫適期となるのは11月初旬頃からとなる. 樹勢は強く若木時代直立するが、樹姿は開張性である。長所は、食味がすぐれている。貯蔵性がすぐれている。
 短所は、下枝などの日陰部の果実が着色悪く、つる割れが年により多発し、特にサンふじ(無袋のふじ)は
商品化率が低いことである。粗皮病、斑点落葉病にやや弱い。隔年結果(成らせ過ぎると翌年は成らない)の傾向が強い。


Q:印度りんごはインドのデカン高原あたりから来たのか?という質問がありましたが......。
A:試験場育種部小松研究員の話)「印度ね。明治の初めアメリカの宣教師が日本に持って来たりんごの種を何とか言う人がまいた実生だ。
 なんでインドか? その宣教師が
インデイアナ州出身だったからと言う説と、宣教師の名がジョージ=イングだったからという説がある。
 (さすが研究員! もしバージニア出身だったら、エリザベスT世?)

     
インド(00/11/20)




長野県、生産量・推移 
リンゴの生産推移(単位 ha,ton, )
年次 つがる 紅玉 ふじ シナノゴールド
面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量
s40 1,150 17,300 4,730 89,900
s45 740 12,880 2,420 69,500 2,520 2,270
s50 290 5,650 550 3,400 1,400 35,370 3,450 50,100
s55 199 3,400 1,560 26,330 856 17,440 4,230 85,320
s60 110 1,700 2,900 52,000 370 5,670 5,600 113,000
h2 62 780 2,650 55,700 153 2,260 6,060 115,600
h7 38 500 2,390 53,200 119 1,830 5,690 128,500
h8 32 400 2,360 43,800 114 1,720 5,650 114,700
h9 30 410 2,300 50,000 114 1,920 5,600 137,000
h10 26 300 2,220 41,000 111 1,670 5,520 92,600
h11 20 250 2,110 40,800 110 1,760 5,460 122,800
h12 - - 2,030 36,000 113 1,670 5,400 116,000 1 3
h13 - - 1,950 35,500 108 1,700 5,300 119,000 2 20
h14 1,880 35,700 104 1,710 5,220 125,800 3 45
h15 1,830 33,000 104 17,10 5,130 119,000 17 300
h16 1,810 27,600 104 1,530 5,050 92,900 26 460
年次 王林 陽光 スターキング その他 秋映
面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量 面積 生産量
s40 1,600 21,200 7,520 139,600
s45 2,250 42,000 5,070 127,350
s50 2,200 47,500 1,860 36,980
s55 265 4,060 1,750 37,090 1,240 19,760
s60 530 9,000 60 350 700 10,000 650 12,430
h2 714 11,800 111 1,330 220 3,490 528 7,420
h7 679 15,100 162 3,040 59 676 407 6,794
h8 665 14,500 165 3,050 40 510 409 6,330
h9 656 14,100 165 3,350 36 460 400 6,690
h10 631 10,400 165 2,750 31 351
h11 616 12,600 150 3,000 27 327
h12 596 12,000 149 2,870 - - 16 280
h13 565 11,400 140 2,840 30 580
h14 533 11,200 150 3,100 35 770
h15 506 10,100 145 3,000 67 1,500
h16 465 7,970 142 2,690 78 1,560
以上、長野県園芸特産課資料
平成10,16年のふじ、王林生産量が少ないのは、台風被害の為です。
シナノゴールド、秋映は結果樹面積、他は総面積です
生産量(推計値)の出し方:果実全体で全県71ヶ所で6月1日、9月1日に着実量を調べ算出するとのことです。

以上資料は長野県農政部、「リンゴ品種大観」(吉田義雄編著)和広発行「りんごの本」(栗田哲夫編著、金子晴雄写真)より

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