りんごの様子 栽培りんご品種の紹介 信州りんご資料 HOME 
写 真(りんご、長野) りんご料理 メ モ 帖 (07/9/30)

HOME  20世紀の記念 1 2  3 4

背景写真は長野県果樹試の新育成系統りんごを試食する田中康夫知事
           
--「信州くだものニュース」(長野県果樹研究会,撮影小山英壽氏)より


 
Photo: 長野県果樹試験場長 H.Koike

  
      


 「...20世紀の記念...」のリンゴの芽が出て、先ずは
めでたかったわけですが今世紀には育種法が大分
変わりそうです。(よくわかりませんが。)

従前の (1)「交配育種法」 では10年単位の時間と
広大な圃場が必要で、また、この方法のみでは、
 「消費者」の、多様化、高品質 な果実への要求、
 「生産者」の、病虫害抵抗性、結実特性、貯蔵性、
      外観への要求

などの全てを満たす新品種の育成は困難か殆ど不可能
な為、次ぎのような新手法が用いられるそうです。
(2)「交配育種法 +ゲノム解析結果の利用の併用」注1
で、長野県果樹試験場でもH14年度から新品種育成を
効率化する予定とのこと。
 さらに、大豆、トウモロコシなどでは
(3)「遺伝子組み替え法」(注2) がすでに
実用化されていて将来、果実にも用いられるのでしょう。
 (裏を返せば、りんごではまだ組替えが行われて
 いないと言う事!?)

  一個人がタネをまき、新品種育成を夢をみること
が出来たのは過去のこと、まさに「20世紀の記念」
なってしまうのかも知れません。

.


1注1交配育種 + ゲノム解析結果の利用

 
まず、今まで通り交配によるタネをまき、発芽させますが、試験機関では
その数は膨大なものになるそうです。 
 この芽等を早い段階で一次選抜を行い、
育成母数を減らし、育成を効率化する為に
「ゲノム解析」
(注)が利用されるそうです。
また  〃  は交配品種選択の最適化にも利用されるとのことです。
 
 下図は,「ゲノム解析」で概に判明している
 「○×病抵抗性を発現する ○×遺伝子配列」
を、
 新たに育成しようとする検体から見つけるシュミレーション?(のつもり)です。
       
色分けした粒は、それぞれA、T、G,、Cの DNA構成塩基
                            ( 実際は数千個レベルの塩基配列)
        手順 @育成しようとする検体からDNAを抽出し、
              Aその配列を、このモデルと照合して、     .
               ○×遺伝子配列の有無を検定し
              B○×遺伝子が無ければここで試作中止に。  . 
           (図では果実からDNAを採っていますが、早期に芽などから採取)
-------理解不足で大幅に簡略化しています。

            ↓判明している 「○×遺伝子配列」モデル
マッチしなければ育成中止。同様に、いくつもの
抵抗性、形質の検定をし、選抜を行うそうです。
           DNA すこし詳しくは HOME>自習帳へ

 
 (注)     
「ゲノム解析」(1)見本のリンゴのDNA塩基配列をシークエンサで読む。
        (2)塩基配列の中から、りんごの皮色「エチレン生成」
          病虫害特性などを決める遺伝子部位をさがす。
        (3)その遺伝子の目印となる「DNAマーカー」を探索するなど
          遺伝子地図(ゲノム地図)を作る。
            そして、Cその遺伝子地図を用いて、育成候補種に
            望む遺伝子があるか否かを検定し、早期選抜する。

   「エチレン生成」:エチレン発生量が多い品種は
                   日持ちが悪く収穫前の落果が多い。
  「DNAマーカー」:医療で実用化されつつあるDNAチップ
            とは違うようですが、目的は同じ?
            現在、病虫害抵抗性遺伝子では、黒星病、斑点落葉病、
            うどんこ病などのマーカーが確認されているそうです。
                                  .











注2)「遺伝子組み換え作物」(GMO

 果実ではありませんが、有名なのが米モンサント社「ラウンドアップ・レデ大豆」
 「うちでは除草剤を一切使っていません」と謳う農家でも一度は何処かで
使った事があると思われる有名な除草剤、モンサント社「ラウンドアップ」
 この除草剤は「非選択性」ですべての植物を枯らしてしまいます。
モンサントは、この非選択性除草剤の影響を受けなくする酵素を作り出す遺伝子を見つけ出し
大豆の遺伝子に組み込みました。大豆畑に皆殺し除草剤ラウンドアップを散布すると、
この「ラウンドアップ・レデ大豆」だけは枯れないという仕組みで、従来、雑草の種類に合わせて
数種類の除草剤を何回も撒かねばならなかった手間とコストの大幅な削減が可能となったとの事。
モンサントは除草剤と種苗の販売で美味しい商売をしているのでは。)

 モンサントもう1つのGMO「害虫抵抗性作物」。トウモロコシを食害する害虫に
「アワノメイガ」の幼虫がいるそうで、その被害は米国で毎年1千億円以上といわれています。
その「アワノメイガ」の幼虫「天敵」が土壌中や植物表面にいるバチルス菌(Bt菌)。
Bt菌が作り出すある種のタンパク質、そのBtタンパク質を作り出す遺伝子をトウモロコシに組み込み
97年に製品化したそうです。「アワノメイガ」の幼虫は茎の中にいて時々顔を出すだけなので大量の
農薬散布が必要だったそうで、その為、この新トウモロコシは爆発的に普及したそうです。
     (他の農薬メーカーの収益性が悪化しモンサントが優位に。)
 
 このGMOモンサントの例でも判るように、農家などの供給側、特に種苗・農薬企業の
利益追求の手段に用いられたオモムキがあった為か、大学など研究機関から批判を受け、
それがマスコミでも大きく取り上げられました。
 狂牛病などで消費者の食品安全性への疑問が高まっていることもあり、
GMOには逆風が吹いているようです。
 そこで次ぎの段階のGMOは消費者側にもメリットが無ければならないと言われ、
例えば、消費者利益にかなう様々な遺伝子を持つ「イネ」がわが国でも開発されはじめているそうです。
   (イネゲノム解読解析の成果)

                                      -- 以上「信州の果実」等参照









↑                             .
冒頭の写真:英国East Malling 研究所にて。モデルは小池場長
では無く、「りんごゲノム地図作成プロジェクト」担当の
Kate Rigges博士。小池洋男場長(↓)の撮影     .

           .

HOME  20世紀の記念 1 2  3 4