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年末まで種を冷蔵保管してから
(育種部、小松研究員にききました)
(イ)りんごの種を弁当箱、タッパンなどに入れ、種が半分隠れるくらいに水を入れる。(*)
(ロ)冷蔵庫で保管
(ハ)時折観察し、種が割れてきたら(2〜3月)、プランター等の培土に、2cmほどの深さに埋める。
(ニ)時折軽く水をまく
(*) りんごの種子は湿った状態で、2〜5℃の低温に一定期間貯蔵しないと発芽しない
という性質がある、そうです。
( 「秋映」選抜育成者 )
(イ)りんごの種を紙袋、布袋に入れ保管。(暖地の場合は冷蔵庫で保管)
(ロ)3月中をめどに、プランターの砂地などの培土に、2cmほどの深さに埋める
(ハ)時折かるく水をまく
(ニ)長野の場合、4月末頃(りんごが開花するころ)発芽してくる
秋映(あきばえ)
1:どちらの方式が妥当か
試験場研究員によれば「簡単にやっても芽は出て来ないよー」
一方、小田切氏によれば「私のやり方でも、時期になれば芽が出てきますよ」
在野の研究者、小田切氏方式が簡便で良いと思われますが、試験場の方法が
より確実なんでしょう。
2:報酬について
発芽して、うまく成長すると大体リンゴが成るそうですが、とりあえず、それは
新品種です。次に様々検討し有望品種だと確信できれば種苗登録となりますが
その費用が10万円ほど。次に苗木屋さんとの交渉に。
秋映の場合、3軒の苗木商に各30万円、計90万円で販売権を与えたそうです。
(種苗登録料は苗木商負担)
販売権譲渡後のリスクは苗木商が負うため、よほど有望なものでないと高額な
販売権料は望めないそうです。
試験場育成の新品種は苗木1本いくらの歩合制だそうですが、出荷本数把握が
難しいという話です。
3:結論
小田切氏から「世に出る新品種は、十万分の一の確率」とのおそろしいお言葉を
頂き出鼻をくじかれた感が否めませんが、「新品種育成は一種のロマン」だそうで、
気楽に「世界にただひとつの、私の品種」を育てることを楽しんでみたらよいと
思いました。
(回答は長野県果樹試験場などに聴きました)
1:「ふじ」のタネをまけば、「ふじ」の木になるのでは?
A:トマト、キャベツなど野菜は種苗店のタネをまくと同じものが出来ます。これは
交雑第一世代のF1といわれるタネで、純粋な親同士*1をかけ合わせ作ったものです。
(F1が成長し出来たタネをまいても,もう同じものは出来ません)
*1:自家受粉(同じ品種の花粉で受粉)を5〜8代繰り返し純化したもの
他方、りんごは自家不親和性*2が強く、もともとタネは異種の雑多な遺伝子を合わせ
もち、また、永年作物のため野菜のような純粋な親を作ることが困難なこと、などから
例えば、ふじとつがるを交配させた一つのりんごのタネ10粒まくと10種類のりんごが
出来てしまいます。
--(世界中のふじはたった1本の原木から接木により殖やされました。)
*2:同じ品種の花粉(自家受粉)では授精しにくいこと。授精率は
他の品種の花粉を使う他家受粉の場合の1/10以下。
2:「ふじ」へ「つがる」の花粉を交配させれば、ふじとつがる両方の特性をもつ果実が成るのでは?
A:「ふじ」が成ります。
左図を「ふじ」の果実とします。
この中で、「つがる」の遺伝子が混ざっているのは
黒いタネの中の小さな白い点(卵細胞)だけで、
あとはすべて「ふじ」です。
授精はタネを作るために必要で、胚珠の中にタネが出来ると
タネがホルモンを出し、それが引き金になり子房などが
細胞分裂を起こし成長していく、と考えられています。
よいタネができないと、よい果実ができず
生育が止まって落果したりします。
3:ももくり3年かき8年というが、りんごは?
A: およそ5年くらいで実をつけますが、普通は2年目くらいに他の木に接木して早期
結実を図るそうです。
4:1本生育させたが実がおちてしまう。
A:前述のように、りんごは他家受粉のため、1種類の木だけでは授精しにくいです。
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